誰もが一度は、“なかなか眠れない”という経験をしたことがあると思います。
そのような時、病院を受診して睡眠薬を処方してもらうという人もいるでしょうが、手っ取り早く市販の睡眠薬を買う人も多いと思います。
今回は、ドラッグストアなどで販売されている睡眠薬について考えます。
不眠とは?
日本人成人の3割が何らかの不眠症状を抱えていると考えられています。
不眠といっても実はいろいろなタイプに分けられます。
夜になかなか寝付けない「入眠障害」、
一旦寝ついても夜中に目が覚めてしまう「中間覚醒」、
早朝に目覚めてしまう「早朝覚醒」、
熟睡した感覚が得られない「熟眠障害」、
などがあります。
これらの症状が頻繁に発生し、かつ1ヵ月以上続く場合は、(病的な)不眠症と診断される可能性があるので、病院を受診したほうが良いかもしれません。
ただし、不眠といっても、一時的なストレスで眠れない、短期的な肉体疲労によって寝つきが悪くなる(眠りが浅くなる)といった場合もあります。このような一時的な不眠症状は(病的な)不眠症ではありません。
一時的な不眠症状はドラッグストアなどで販売してある市販薬で対応することが可能です。
市販の睡眠薬とは?
ドラッグストアなどで販売されている市販の睡眠薬は、正式には「睡眠改善薬」と呼ばれるものです。
一方で、不眠症の患者さんが医療機関で処方されるのが「睡眠薬」あるいは「睡眠導入薬」です。
睡眠改善薬にはエスエス製薬の「ドリエル®」や大正製薬の「ネオデイ®」など数多くの製品がありますが、いずれも成分はジフェンヒドラミン塩酸塩という抗ヒスタミン薬です。
抗ヒスタミン薬というと花粉症などのアレルギー性の病気の治療薬として知っている人も多いと思いますが、古くから使われている抗ヒスタミン薬には副作用として眠気があります。
睡眠改善薬は、抗ヒスタミン薬の副作用である眠気を利用して眠りに導くのが睡眠改善薬なのです。
(最近の花粉症治療薬である「アレグラ®FX」や「クラリチン®EX」は、眠くなりにくい成分が使われています)
市販の睡眠改善薬は、病院で処方される睡眠薬、睡眠導入剤とは、成分が異なっているということを知っておきましょう。
また、一時的な不眠症状には市販の漢方薬を使用することも可能です。
漢方薬は即効性があまり期待できませんが、副作用も少なく安心して使用できる薬といえます。
不眠を改善する漢方薬には加味帰脾湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、抑肝散加陳皮半夏などいくつか種類がありますが、体格や体質によって使用する薬が異なるので、漢方薬を希望する人は薬局の薬剤師に相談してみましょう。
長期間の使用はやめる
市販の睡眠改善薬はあくまでも一時的な不眠症状に使用される薬です。
睡眠改善薬は「一時的な不眠症状」を改善するお薬です。数日間使用しても不眠症状が改善しない場合は、市販の睡眠改善薬では対応しきれないのかもしれません。
不眠症状がなかなか改善せず、日常生活にも支障があれば医療機関を受診してみましょう。
治療を要する不眠症である可能性もあります。