薬を飲むことに抵抗を感じている人は少なくないと思います。
特に薬の副作用を気にする人は多いでしょう。
病気のつらい症状が治まれば「もう薬を止めてもよいのでは?」と考えてしまうのももっともです。
では、病気が治ったら(症状がなくなったら)本当に薬の服用を止めてもよいのでしょうか。
風邪の処方薬
風邪の時には、解熱鎮痛剤や咳止めの頓服薬がよく処方されます。しかし、これらの薬は症状が現れたときに服用するものです。
したがって、風邪が治ってきて発熱や咳が治まれば、さらに服用を続ける必要はありません。
同様に、便秘薬や下痢止めの薬も症状が治まれば服用を中止します。
むしろ、便秘が治ったのに便秘薬を服用し続けると、今度は下痢になってしまうこともあるからです。
薬の服用を途中で止めてもよいかどうかの判断ができない人は、事前に医師や薬剤師に服用の方法を確認しておきましょう。
生活習慣病の薬
糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の薬の場合、苦痛に感じるような症状がない場合も多いため、治療を続けるモチベーションが続きません。
しばらく薬を服用したところ、検査の結果が改善したために、自己判断で勝手に薬の服用をやめてしまう人がいます。
しかし、これは非常に危険な行為です。
たとえば、コレステロール値が異常に高い脂質異常症の人には、コレステロール値を下げる薬が処方されます。
しかし、検査の結果、コレステロールの値が改善したり、あるいは薬を飲むのが面倒になるなどで薬の服用を途中で止めてしまうと、再びコレステロールの値が高い状態に戻ってしまいます。しかも、そのような状態が長く続くことによって、心筋梗塞など命に関わる病気を招いてしまう恐れがあります。
これは糖尿病などほかの生活習慣病にもいえることです。
生活習慣病であっても、治療をきちんと続けていれば、医師の指示で薬を減量したり、場合によっては薬の服用を中止することもできます。
生活習慣病による重大な疾患を予防するためにも、薬の服用はきちんと続けていきましょう。
抗生物質
細菌性の感染症で抗生物質が処方された場合は、たとえ症状が治まっても処方された抗生物質は全て飲み切る必要があります。
これは症状が治まっても、細菌がまだ体の中に残っている可能性があるからです。
体の中に細菌が残っている状態で抗生物質の服用を止めてしまうと、体内に残った細菌が再び増殖し病気が再発してしまう場合があります。
これは水虫などの真菌の感染症にもいえることです。
水虫による痒みが治まったからといって、塗り薬などの抗真菌薬の使用を止めてしまうとたちまちに症状が再発してしまうことがあります。
塗り薬の場合も同様で、症状が治まってもしばらくは薬の使用を続けましょう。