食品の機能とは
最近、コンビニやスーパーで、含有成分や機能が表示されている食品をよく見かけるようになりました。
「これ1本で1日に必要なビタミンCが摂れます」といった成分量の表示から、「体脂肪を減らします」「目の調子を整えます」「睡眠の質を向上します」といった医薬品かと思ってしまうような効果をうたった表示まで、さまざまな表示があります。
そもそも、食品の「機能」とはどういうものなのでしょうか?
掃除機やエアコンなど家電製品の機能はすぐに頭に浮かびますが、「食品の機能は?」と聞かれてもすぐには答えが出てこないと思います。
食品の機能を一言でいうと「人間の生命活動を維持するために必要なエネルギーや栄養の供給」です。
米、芋、小麦などは、炭水化物によるエネルギーを供給する機能があります。
肉、魚、乳製品などは、アミノ酸や野菜に含まれないビタミンを供給する機能があります。
野菜、果実などは、ビタミンや食物繊維を供給する機能があります。
このように、どのような食品にも人間の生命活動を維持していくために必要な炭水化物やビタミン、食物繊維などのエネルギーや栄養を供給する機能があるのです。
普通の食事からでも十分な栄養が摂れる
前述したように、どのような食品にも人体に必要なエネルギーや栄養を供給する機能があります。
したがって、バランスの良い食事を摂れば十分な栄養は摂取できるので、サプリメントや健康食品に頼る必要はないのです。
むしろ、特定の栄養素だけが増強された食品を摂り続けると、身体の栄養バランスが狂ってしまう恐れがあります。
過ぎたるは及ばざるがごとし
サプリメントや機能性表示食品が身体に健康に良いとされるのは、「特定の栄養成分が高濃度で含まれているから」ということですが、この「高濃度」が問題になる恐れがあります。
日本中毒学会の調査によると、カフェインを多量に含む眠気防止薬や「エナジードリンク」の清涼飲料水の急性カフェイン中毒で、2011年度からの5年間に少なくとも101名が救急搬送され、7人が心停止となり、3人が死亡したことがわかりました。
カフェインの致死量はコーヒー30~40杯分に相当するといわれているので、1日に数杯飲む程度であればカフェイン中毒の恐れはありません。
しかし、カフェインが高濃度で含まれている飲料水やサプリメント、薬などを常用したり、一度に大量摂取したりすると、カフェイン中毒になる恐れがあります。
特に子どもがカフェインを摂取する場合、大人では問題がない量でも、子どもにとっては問題になることがあります。
実際、エナジードリンクを常用している子どもの中に異常行動が見られることがあるという報告があります。
身体に良いと思われるビタミンやミネラルでも、必要量を超えた量を摂取すれば「過剰症」を引き起こします。
特に、体内に蓄積されやすいビタミン(ビタミンA、ビタミンDなど)やミネラル(カルシウム、マグネシウムなど)を、毎日サプリメントなどで大量に摂取していると、過剰症になる恐れがあります。
「サプリメントや健康食品は身体に良いから、とりあえず摂っておこう」という考え方が、時には健康を害することもあるのです。
科学的に正しい食事の摂り方とは
健康食品やサプリメントは、「身体に不足しているものを、緊急的に補充する」という点では効果があると思われます。
しかし、普段からバランスの良い食生活を送っていれば、なんらかの栄養成分が不足するということはほとんどないので、健康食品やサプリメントを摂る必要はないのです。
むしろ、健康食品やサプリメントから、特定の成分を過剰に摂取することによる健康被害のリスクを考えたほうがいいかもしれません。
最近では、食事の摂り方と健康には密接な関係があることが、国内外のさまざまな研究から証明されています。
ダイエット効果の高い食事方法として、
「副菜(野菜、海藻、キノコなど) → 主菜(肉、魚など) → 主食(米、小麦、芋類など)の順番で、ゆっくりと時間をかけて食べる」
という方法があります。
「食べる順番」を意識するだけ、食後の急激な血糖値の上昇が抑えられ、肥満の解消や糖尿病の改善といった効果が確認されています。