便秘は一度なってしまうと習慣化してしまうこともあり、腹痛やお腹の張りなど不快な症状もあるので早く治したい症状です。
今回は便秘薬の種類とその使い方について説明します。
便秘の定義
慢性便秘症診療ガイドラインによると便秘とは、
「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」
と定義されています。
人によって排便の頻度や回数は異なりますが、普段よりも排便の回数が著しく減ったり、便が出にくくお腹が張ったりするなどの症状がある場合は便秘と考えることができます。
便秘の場合は飲み薬や外用薬を使用することで症状の改善を図ることができます。
ここからは便秘薬の種類と効果を確認していきましょう。
浸透圧性便秘薬
酸化マグネシウムや水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの便秘薬を、浸透圧性便秘薬(または塩類下剤)と呼びます。
浸透圧性便秘薬は、腸内の水分量を増やす効果があるので、便が柔らかくなり、より排便しやすくなります。
浸透圧性便秘薬は、効果は緩やかなものの、消化器への負担が少なく、連用による耐性(継続して薬を服用することで効果が薄れてくる)も生じにくいので、便秘薬の中では比較的使いやすい薬といえます。
ただし、浸透圧性便秘薬を長期間にわたって服用したり、腎臓の機能が落ちている人が服用したりすると、血中のマグネシウム量が増え過ぎてしまう「高マグネシウム血症」という副作用が生じる可能性があります。
高マグネシウム血症は軽い症状なら、吐き気や嘔吐、立ちくらみ、めまい、などの症状が現れますが、放っておくと意識障害など重い症状を引き起こすこともあります。めまいや立ちくらみ、体のだるさなど、いつもと違う感じがあれば医療機関を受診しましょう。
刺激性便秘薬
センナやピコスルファートなどの成分を含む便秘薬を、刺激性便秘薬といいます。
刺激性便秘薬は、腸粘膜を刺激して腸の運動を活発にすることで排便を促します。
刺激性便秘薬は、効き目が強く、効果を実感しやすいというメリットがありますが、長期間の連用による耐性が生じやすいというデメリットもあります。
また、腹痛や吐き気などの副作用が生じる場合もあるので注意が必要です。
大黄甘草湯や麻子仁丸など大黄が含まれる漢方薬を便秘の際に服用されることがあると思いますが、これらも刺激性便秘薬に分類されます。
グリセリン浣腸
便秘の治療には、外用薬のグリセリン浣腸を使用することも可能です。
グリセリン浣腸は直腸を直接刺激し、腸の運動を活発にすることで便秘を改善します。
また便を軟化、潤滑化することでも排便を促します。
グリセリン浣腸は即効性があり、効果もわかりやすのですが、頻繁に使用していると、浣腸なしでは排便ができなくなる恐れもあり、注意が必要です。
また直接肛門に入れるので、周囲の粘膜を傷つけたり、炎症が生じる恐れもあるので、正しく使用することが重要です。