苦みが強く大人でも飲みにくい薬を、ペロッと飲んでしまうお子さんがいる一方で、甘い味付けがされている小児用の医薬品でも飲まないお子さんがいます。
子どもは性格も味覚もそれぞれ違うので、それぞれのお子さんに合った薬の飲み方を見つけることが大切です。
ここでは、薬をなかなか飲んでくれないお子さんに、薬を飲んでもらうための工夫をお伝えしたいと思います。
薬を水に溶かす場合、水は少量で
まずは薬を水、ぬるま湯などに溶かして飲めるかどうかを確認しましょう。
ここでのポイントはできるだけ少量の水を使うことです。
多めの水で薬を完全に溶かしたり、味を薄めたりしたほうが飲みやすいと思っている人が多いのですが、「薬を飲みたくない」と思っている子どもにとって、飲む量が増えるのは好ましいことではありません。
薬を多めの水に溶かすことが、薬を嫌がる原因となっている場合があります。
水でダメだった場合は、水+単シロップで試してみましょう。
これでもダメなら、飲めない理由を他に探すことになります。
子どもが薬を飲めない理由を探す
●子どもがおなかいっぱいだと、薬を飲めない場合があります。
食後に飲む薬の場合、食前に飲ませても問題ないかを医師や薬剤師に確認し、食前に飲ませても薬の効果に影響がないのであれば、食前に飲ませましょう。
●恐怖心から飲めない場合があります。
病気を治すためとはいえ、無理やり押さえつけられて薬を飲まされた経験があると「今回も薬を飲むときに押さえつけられてしまうのではないか?」という恐怖心から、薬を飲むのを嫌がる場合があります。
このような場合は、お子さんに薬を飲ませたことがない人に飲ませてもらう、場所を変えて(ベランダなど)飲ませてみる、というように状況を変えることで飲めるようになることがあります。
●飲ませた後にすぐ吐いてしまう場合があります。
子どもは、一度に口に入れる量が多いと、口に含んだものを吐きだしてしまうことがあります。
また、過去に薬を飲んで吐いた経験があると、その時を思い出し、予測性のおう吐を起こしてしまう場合もあります。
このような場合は薬の見た目や味を変化させてみることで解決することがあります。
実際、桃色の粉薬が、黄色の粉薬に変わっただけで、すんなり飲めるお子さんもいます。
同じ成分の薬が複数の製薬メーカーから販売されている場合、色や味が違うものがありますので、薬局で薬剤師に相談してみるといいでしょう。
子どもがどうしても薬が飲めない場合はチョコレート味がおすすめ
ここまでの方法を試してみても、子どもがどうしても薬を飲めない場合は、それぞれの薬の特性に合わせて飲み合わせの良い食べ物を利用するのも一つの解決策です。
基本的には、薬の効果に影響しない食べ物であれば、薬と一緒に食べさせても構いませんが、薬によっては相性の悪い食べ物があるので、事前に医師か薬剤師に相談してください。
ただし、薬と一緒に食べたことで、食べ物の風味や食感が変わり、その食べ物を嫌いになってしまうことがあります。
したがって、子どもの成長を促す食べ物(牛乳など)はおすすめしません。
また、酸味のある食品は、薬の苦みを増す傾向があるので、こちらもおすすめしません。
私のお勧めはココアパウダー、パンに塗るチョコレートクリーム、チョコレートアイスです。
これらは味が濃く、薬の味を隠す効果に優れています。
特にチョコレートアイスは、冷たさで味覚が麻痺し、味を感じにくくさせるので、かなり薬が飲ませやすくなります。
チョコレートアイスに薬を混ぜて飲ませる場合のお勧め手順を紹介します。
特に粉薬の場合が効果的です。
最初に、アイスだけをスプーンで食べさせます。
続いて、粉薬を挟み込んだアイスを食べさせます。
口の中でアイスが溶けてくると、アイスの中に薬が混ざっているのに気づかれてしまいます。
なので、子どもが薬に気づく前に、もう一度アイスだけを食べさせます。
人は口の中に食べ物が入ってくると、条件反射で口の中にあるものを飲み込んでしまうので、アイスを次々と口の中に入れることで、口の中にあった薬を胃に送り込むことができるのです。
チョコレートアイスに薬を混ぜて飲ませる場合のコツは、薬をアイスに挟み込むところを子どもに直接見せないことです。
うまくできると成功率が上がります。